CEAT基礎研究

上咽頭癌・脳転移

A・M(1953年生まれ、男性)

2002年3月22日、上咽頭癌で頚部リンパ節へ転移したため同部を摘出し、抗癌剤、放射線治療を受けた。その時点で生存率30%以下と告げられた。1か月後の4月22日当院初診。胸部より上部に癌活性反応を認める。左の頸部は著しく陥没し、放射線の影響で唾液の出にくい状態だった。マイクロ波治療を02年5月13日より連続4日間行った。その後、経過良好に推移していたが、05年1月19日に脳外科で左側頭葉、頭頂葉、横側頭回への転移を指摘され(写真1)、手術を勧められた。「手術はもう絶対に嫌です。どうなってもいいからマイクロ波で治療してみてもらえないですか」という。私には自信がなかった。「私は脳外科の専門医ではないし、もしも治らなかったら手術をすることになりますが、いいですか?」と答えるとA・Mさんは同意してくれた。そこで05年1月20日より1日2回ずつマイクロ波を3日間照射した。その後、11月、12月に計14回マイクロ波を照射した時点で癌活性反応は消えた。06年1月27日の脳MRIでは腫瘍は認められなかった(写真2)。A・Mさんは、北海道在住で、頻繁には来院できない状況だったが、10年11月1日に上咽頭癌の再発で死亡した。発症してから8年以上経過し、脳に転移像が認められてから5年近く経過していた。

写真1:2005年1月19日のMRI画像。マイクロ波を14回照射した後、癌活性反応消失。

写真2:2008年12月16日のMRI画像。脳転移巣消失後5年間不変。