CEAT基礎研究

前立腺癌

B・K(1943年生まれ、男性)

PAS27.8ng/ml、生検では12の細胞中3個陽性、グリソン係数4~5、皮膜を破って精嚢へ浸潤、低分化と中分化の混合型。2005年5月25日の骨シンチグラフィーで 「胸骨柄正中、両肩、右膝、両側恥骨にRIの異常集積が見られる」とあるが、実際は胸骨と第9胸椎と第4腰椎に見られる。手術、抗癌剤、放射線の適応外で治療不可能といわれ、05年7月19日当院初診。遠赤外線温熱ヒーターを家でやってもらい、05年末まで23回マイクロ波を照射。PASは23~24ng/mlを上下し、11月には30.8ng/mlに上昇。06年1月のPET検査で異常はなかった。2月のPASは30ng/mlでF/Tが9%。06年2月6日のMRIによれば、直径約3cmの癌腫を認め、左の直腸前立腺角にやや進展している(写真1)。5月のMRIでは第9胸椎の椎体に骨転移像が見られ(写真3)、PASは37.0ng/ml、8月には69ng/ml、9月には78ng/mlと上昇気味のため、ホルモン治療が開始された。10月に入ってPASが9.1ng/ml、F/T比が28%と改善傾向を示した。10月26日よりホルモン療法を中止。11月22日にはPASが5.2ng/mlに低下。06年のマイクロ波治療は66回だった。07年2月のPASは8.5ng/ml、3月13.5ng/ml,4月の骨シンチグラフィーの結果、多発転移性骨腫瘍は改善し、異常集積は低下。第4胸椎の集積は消失した。6月のMRIでは第9胸椎の転移像は修復された(写真4)。PAS`は20ng/ml。9月29日のMRI検査での所見では、前立腺肥大のみで精嚢への浸潤は見られない(写真2)。骨転移に関してもMRI上は明らかな異状を認めない。07年のマイクロ波の照射回数は11月末で30回。08年7月の骨シンチグラフィーで右の股関節臼部と脊椎に2個の転移像が見られたので、マイクロ波の集中治療を開始。12年12月現在、共鳴反応検査も異常なく経過観察に来ているが、その都度マイクロ波を照射している。
通常は、前立腺癌で皮膜を破って浸潤した場合は、治療方法がないといわれるだろう。本法はそれらの人々にも、希望がもてる治療法としての示唆を与えてくれた。

写真1:2006年2月6日のMRI画像。約3cmの腫瘍が前立腺左PZ外方に突出。

写真2:2007年9月29日のMRI画像。精嚢への浸潤はみられない。

写真3:2006年5月のMRI画像。第9胸椎に陰影がみられる。

写真4:2007年6月のMRI画像。陰影は消失した。